Astbury WT and Sisson WA. General". (1933) "Some Problems in the X-ray Analysis of the Structure of Animal Hairs and Other Protein Fibers". αヘリックス(Alpha helix)はタンパク質の二次構造の共通モチーフの1つで、バネに似た右巻きらせんの形をしている。骨格となるアミノ酸の全てのアミノ基は4残基離れたカルボキシル基と水素結合を形成している。, 1930年代前半、ウィリアム・アストベリーは湿った羊毛や髪の毛は、伸ばす前と後でX線繊維回折の結果が大きく違ってくることを発見した。この結果は、伸ばす前の繊維の分子は5.1Å以下の周期でコイル状の構造を持っていることを示していた。, 詳細について誤りはあったにせよ、アストベリーのこのモデルは概ね正しく、1951年にライナス・ポーリング、ロバート・コリー、ヘルマン・ブランソンらが提唱した二次構造の概念とも合致した。アストベリーのモデルでは原子同士がぶつかってしまっているため正しくない部分があると初めて指摘したのは、ハンス・ノイラートであった[1]。ノイラートの論文とアストベリーのデータに刺激を受けたヒュー・テイラー[2]、モーリス・ハギンズ[3]、ローレンス・ブラッグら[4]によってα-ヘリックスとよく似たケラチン分子の構造モデルが提唱された。, 近年のα-ヘリックスのモデルに関する2つの大きな進展は、アミノ酸やペプチドの結晶構造やポーリングの予測したペプチド結合に基づく正しい結合配置の決定と、らせん1回りの残基数が整数であるという誤った予測を捨てたことであった。決定的瞬間は、1948年1月にポーリングが風邪を引いて寝ている時に訪れた。退屈な彼は紙にペプチド鎖の絵を描き、それをらせんに折って注意深く観察していた。その時に彼はモデルに水素結合を導入することに気付いたのである。ポーリングはこの説を公表する前にコリー、ブランソンと共に入念な確認の実験を行った[5]。, αヘリックス中のアミノ酸は5.4Å単位の右巻きらせん構造をしている。それぞれのアミノ酸はらせん中で100°向きを変え(つまりらせんは3.6残基で1回転し)、らせんの軸の方向に1.5Å進む。アミノ酸のアミノ基は4残基離れたアミノ酸のカルボキシル基と水素結合を作っている。これに対して、水素結合が3残基ごとのものは310ヘリックス、5残基ごとのものはΠヘリックスと呼ばれる。αヘリックス以外のヘリックス構造はあまり見られないが、310ヘリックスはαヘリックスの末端部で見られることがある。水素結合が2残基ごとの不安定なヘリックス(δヘリックスと呼ばれることがある)が、αヘリックス形成の中間体として分子動力学法を使ったシミュレーション中に現れたという報告もある。, αヘリックス中のアミノ酸の二面角は(φ, ψ)=(-60°, -45°)であることが多い。より一般的には、ある残基のψの二面角と次の残基のφの二面角の値の合計がおよそ-105°になる。その結果、αヘリックスはラマチャンドランプロットでは、(-90°, -15°)の点と(-35°, -70°)の点を結ぶ傾き-1の線分として表される。これに対して、310ヘリックスの二面角の合計はおよそ-75°、Πヘリックスの二面角の合計はおよそ-130°である。全てのトランス型ポリペプチドヘリックスの回転角Ωは、次の一般式で与えられる。, αヘリックスは密に詰まっていて、らせんの内部にはほとんど空いた空間がないほどである。そのためアミノ酸の側鎖は、クリスマスツリーのように全て下側外向きを向いている。この配向性は低解像度の電子密度マップでタンパク質の骨格の方向を決めるのに利用されることもある。, タンパク質中に見られるαヘリックスは4から40以上の残基によって構成されているが、多いのは10残基程度のものである。溶液中の短いポリペプチド鎖は、ヘリックスを形成するのに要するエントロピーがヘリックスを結合することによる安定性によって補償されないため、αヘリックス構造を取ることはあまりない。αヘリックスの水素結合はβシートの水素結合よりも弱く、周囲の水分子の影響を受けやすいと言われている。しかし細胞膜の様な疎水的な環境やトリフルオロエタノールなどの共溶媒中では、オリゴペプチドも安定なαヘリックス構造を取ることができる。, αヘリックスはその水素結合によって定義されるため、X線回折や核磁気共鳴分光法(NMR)による実験が行われてきた。NMRによって1つ1つの水素結合が直接観測されることもある。, より低解像度の方法として、NMRの化学シフトを使う方法や残余双極子相互作用などがヘリックスを同定するのによく用いられる。波長170-250nmの紫外線による円偏光二色性スペクトルでも208nmと222nmの位置に固有のピークを持つ。これに対して、αヘリックスとランダムコイルのピークがかぶるため、赤外分光法が使われることはほとんどない。最近ではタンパク質中のαヘリックスが電子顕微鏡でも見分けられるようになり、活発に研究が続けられている。, 1種類のアミノ酸による長いホモポリマーは、それが可溶性のものであればヘリックスを作ることがある。このような長いヘリックスは誘電緩和法や流動複屈折法、またはフィックの法則の定数の測定など特殊な方法によっても検出することができる。しかし厳密にいうと、これらの方法ではヘリックスの扁長の形や双極子モーメントしか見られていない。, 異なったアミノ酸配列はαヘリックスの形成に対して異なった傾向を示す。メチオニン、アラニン、ロイシン、グルタミン酸、リシンは特にヘリックスを作る傾向が強いが、プロリン、グリシン、チロシン、セリンはヘリックスを作りにくい。特にプロリンはアミノ基を持っていないため水素結合の形成に関与できず、また側鎖の立体障害が大きくてφの二面角も-70°程度しかないことから、ヘリックス構造を壊したり歪めたりしてしまう。またグリシンは構造が単純で変形しやすいためヘリックスに閉じ込めておくことがエントロピー的に不利になり、ヘリックスの形成を阻害する。, ヘリックスの双極子モーメントは、らせんの軸方向に配列したそれぞれのアミノ酸のカルボニル基の双極子モーメントに由来する。このエントロピーによって、ヘリックスの安定性は低下している。またこの双極子モーメントを相殺するために、αヘリックスのN末端にはグルタミン酸など負の電荷を持ったアミノ酸がくることが多い。さらに数は少ないが、C末端にリシンのような正の電荷を持つアミノ酸が来ることもある。また、リン酸基のようなリガンドと結合するため、あえてN末端に正の電荷のアミノ酸が配置することもある。, 最初にX線結晶構造解析がなされたタンパク質であるミオグロビンは全体の70%程度が8つのαヘリックスでからなり、残りがループかランダムである。, コイルドコイルは、2つかそれ以上のαヘリックスが互いの周りを囲みスーパーコイル構造を作って安定化した形である。コイルドコイルには7連子と言われる、保存性の高い7残基の繰り返しモチーフがある。1番目と4番目の残基は常に疎水性のアミノ酸(4残基目はロイシンであることが多い)で、らせんの束の内部で密着している。5番目と7番目の残基は反対の電荷を持ち、塩橋で架橋されている。ケラチンやミオシンのような繊維状タンパク質ではコイルドコイル構造がよく現れる。コイルドコイルと4ヘリックスバンドルはタンパク質に最もよく見られるモチーフである。例えばヒトの成長ホルモンや何種類かのシトクロムでも見られる。細菌の持つプラスミドの複製を促進するRopタンパク質では、1つのポリペプチド鎖がコイルドコイル構造を取り、2つの単量体が集まって4ヘリックスバンドル構造を取るという、興味深い構造をしている。, αヘリックスは、ヘリックスターンヘリックス、ロイシンジッパー、ジンクフィンガーなどの構造に含まれ、DNA結合モチーフとしての役割を持つ。これは、αヘリックスの直径が約1.2nmでB型のDNAのメジャーグルーブの幅とほぼ同じサイズであるためである。, 1種類のアミノ酸からなるホモポリマーは低い温度ではαヘリックスを取るが、温度が上がるとコイルに構造が変化する。この構造変化はかつては変性と同じものだと考えられていた。, 少なくとも2人の芸術家がαヘリックスに着想を得た作品を作っている。画家のジュリー・ニュードルと彫刻家のジュリアン・アンドレアである。, 微生物学の学位も持つジュリー・ニュードルは1990年から微生物や分子に着想を得た絵画を制作してきた。2003年の彼女の作品Rise of the Alpha Helixはαヘリックスの背景の中に人が描かれた絵である。, ジュリアン・アンドレアはドイツ生まれの彫刻家で実験物理学の学位を持つ。彼は2001年から2004年にかけてタンパク質の構造を模したprotein sculpturesという作品を竹と木などの様々な材料を使って制作した[6]。高さ10フィートで真っ赤な色をしたこの作品はαヘリックスの発見者の一人であるポーリングに捧げられ、オレゴン州ポートランドにある、ポーリングの幼少の頃の家の前に飾られている。, http://www.pnas.org/cgi/content/full/100/20/11207, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=Αヘリックス&oldid=60487208, タンパク質を伸ばすことによってらせん構造が壊れ、β型と言われる引き伸ばされた構造に変化する. (1951) "The Structure of Proteins: Two Hydrogen-Bonded Helical Configurations of the Polypeptide Chain". Barlow DJ and Thornton JM. The configuration of the keratin molecule and its orientation in the biological cell". John Kendrew et al. Astbury WT and Street A. II. (1988) "Helix Geometry in Proteins". (1950) "Polypeptide chain configurations in crystalline proteins". (1985) "The role of the α-helix dipole in protein function and structure". Powered by WordPress with Lightning Theme & VK All in One Expansion Unit by Vektor,Inc. STUDY SUPPORTERではライターをはじめ様々な職種でメンバーを募集しております。 一緒により良く、より楽しく、より面白いメディアを運営しませんか? II. (1951) "The Structure of Proteins: Two Hydrogen-Bonded Helical Configurations of the Polypeptide Chain". Neurath H. (1940) "Intramolecular folding of polypeptide chains in relation to protein structure". Astbury WT and Woods HJ. ‚é‚»‚ꂼ‚ê‚̃|ƒŠƒyƒvƒ`ƒh½‚́u, v‚ƌĂԁB]‚Á‚ă^ƒ“ƒpƒNŽ¿‚ÌŽlŽŸ\‘¢‚Í•¡”‚́u. αヘリックス(Alpha helix)はタンパク質の二次構造の共通モチーフの1つで、バネに似た右巻きらせんの形をしている。骨格となるアミノ酸の全てのアミノ基は4残基離れたカルボキシル基と水素結合を形成している。 (1976) "The α-helix as an electric macro-dipole". technology. Astbury WT. (1935) "X-ray studies of the structures of hair, wool and related fibres. Pauling L, Corey RB and Branson HR. Pauling L, Corey RB and Branson HR. Chothia C, Levitt M and Richardson D. (1981) "Helix to Helix Packing in Proteins". ヒトとブタ・ウシ・ヒツジのインスリンのアミノ酸配列を調べると、A鎖の8、9、10番目とB鎖の30番目のアミノ酸配列が種によって異なるだけで、その他は共通していることがわかる。, 水素結合によりらせん状のαヘリックス(αらせん)構造やβシート構造などの規則的な立体構造をとること。S-S結合による場合もある。, ★水素結合…カルボキシル基の-COとアミノ基の-NHの間にみられるゆるやかな結合。, ポリペプチド鎖のアミノ酸が3~4個ごとにひと巻きするらせんをつくり、上下のらせんの内の-COと-NHの間で4個の水素結合を生じ、立体構造をとる。, ポリペプチド鎖が平行に並び、互いに水素結合でつながって屏風のようにじぐざぐなっているので、安定で分解されにくい。, らせん構造やジグザグ構造などの二次構造が組み合わさって折りたたまれ、1つの立体構造をとるもの。S-S結合による場合もある。, タンパク質がいくつかのサブユニット(三次構造からなるかたまり)からできているとき。, タンパク質を加熱したり、pHを急激に変化させたり、変性剤を加えたりすると、タンパク質本来の立体構造がくずれて性質が変わる。これを変性という。, 変性したタンパク質では、一次構造は変化しないが、もとの立体構造が壊れて機能が失われている。このように、変性したタンパク質が本来の働きを失うことを失活という。, STUDY SUPPORTERは勉強に悩む中高生に幾つかの指針を与える総合学習メディアです。科目別の対策記事から勉強法、ちょっとした隙間時間に読めるtea break記事など豊富なジャンルを取り揃えています。個性的なライター陣が織りなす広い視野と経験に裏打ちされたメソッドを是非体感してください。. Huggins M. (1943) "The structure of fibrous proteins". Astbury WT and Woods HJ. Wada A. Chothia C, Levitt M and Richardson D. (1977) "Structure of proteins:Packing of α-helices and pleated sheets". Taylor HS. 気になる生化学シリーズ、今回はタンパク質の3回目として、タンパク質の構造をみていきましょう。, 2つのアミノ酸の間で、一方のカルボキシ基ともう片方のアミノ基が結合することでペプチド結合(―CONH―)を形成します。ペプチド結合はアミド結合の一種です。, ペプチド結合を形成すると、個々のアミノ酸からは水分子1つ分(H2O)が減っていることになります。よって、ペプチド結合したあとの個々のアミノ酸を指してアミノ酸残基といいます。アミノ酸残基では、側鎖(R)の部分が元のアミノ酸の特徴として性質を発揮します。, こうしてアミノ酸が連結したものをペプチドといい、つながっているアミノ酸の数が2個ならジペプチド、3個ならトリペプチド、数個~十数個程度までならオリゴペプチド、それ以上多数ならポリペプチドと呼びます。, タンパク質は数百から数千個のアミノ酸がつながったポリペプチドで構成されます。ペプチドのなかにはアミノ酸数個~数十個程度からなる単体で特定の働きをもつものもあり、こうしたものを生理活性ペプチドといいます。, タンパク質の種類によって、構成するアミノ酸の種類と配列が異なりますが、それらはDNA上に記された遺伝子の塩基配列によって指定されています。こうした、タンパク質を構成するアミノ酸配列そのもののことを、タンパク質の一次構造といいます。, なお、ひとつながりのペプチドにおいて、一方の末端はアミノ基、もう片方の末端はカルボキシ基が残ることになります。このうち、アミノ基が残っている端をアミノ末端(N末端)、カルボキシ基が残っている端をカルボキシ末端(C末端)といいます。, ペプチドのアミノ酸配列を横並びに記述する際、基本的にはアミノ末端を左側に書くようにします。, タンパク質の機能は、アミノ酸の配列(一次構造)だけでなく、特定の立体構造を形成することで発揮されます。, ポリペプチド鎖は柔軟に変形できますが、生体内では精密に折りたたまれ、熱力学的に安定した特定の立体構造(立体配座、conformation)をとることで機能しています。, このようなタンパク質の高度な立体構造を高次構造といい、一次構造と区別して二次構造、三次構造、四次構造と段階的に構築されています。, 一次構造が形成されたのち、ポリペプチド主鎖の間で形成される規則的な構造として、αヘリックス、βシート、βターンがよく見られます。, 二次構造は主に距離が近いアミノ酸同士の水素結合によって形成されます。ただし、アミノ酸の側鎖は関与せず、ペプチド結合に関与しているカルボニル基(―CO―)とアミド基(―NH)の間で、水素結合を形成することによって規則的な構造が形成されます。, いくつかのβシートが隣り合って並び、隣同士の主鎖の間で水素結合を形成しています。βシートが集まると全体としてひだ状の層になります。, アミノ酸側鎖はこれらの構造において結合に関与せず、αヘリックスではらせんの外側に突出し、βシートではシートの両面に互い違いに突き出しています。, 二次構造を保持しながら、アミノ酸の側鎖どうしが相互作用することで形成されるタンパク質固有の立体構造を三次構造といいます。, 熱力学的に安定した特定の三次構造を形成することがタンパク質が機能的に活性であることに欠かせません。, 側鎖どうしの相互作用には、水素結合、イオン結合、ジスルフィド結合(S-S結合)、疎水性相互作用があります。, ジスルフィド結合(S-S結合)は、2つのシステインの間で側鎖のSH基が互いに結合することで形成され、ポリペプチド鎖の離れた箇所を架橋する役割があります。, これらの側鎖間相互作用は非共有結合性の弱い相互作用ですが、ポリペプチド鎖のいたるところで形成されることで、タンパク質全体の形が作られるのです。, なお、三次構造では、親水性のアミノ酸側鎖が全体の表面に、疎水性のアミノ酸側鎖が内側に位置するのが一般的です(水溶性タンパク質の場合)。, 三次構造を形成したポリペプチドが、さらに複数会合して機能する場合の構成や配置のことを四次構造といいます。, また、機能するタンパク質として、2つのサブユニットで構成されるものを二量体、4つのサブユニットで構成されるものを四量体というように呼びます。, ひも状の一次構造から立体的な三次構造を形成するまでの過程をタンパク質の折りたたみ(フォールディング)といいます。, 折りたたみのパターンが膨大にあるなかで、アミノ酸側鎖の相互作用に基づき、熱力学的に最もエネルギー状態の低い安定した構造に落ち着きます。, 細胞内でリボソームによってタンパク質が合成されるとき、シャペロンというタンパク質が働き、タンパク質が適切な高次構造に折りたたまれるよう補助しています。, シャペロン(chaperon)という言葉には「付き添い、お目付役、監視人」という意味がありますが、古くヨーロッパでは若い女性が社交界デビューするときに介添えする年上の婦人を指す言葉だったそうです。, ルノワール作『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』では、人々の社交の場であったパリ・モンマルトルの丘のカフェを描かれていますが、そのなかにシャペロンと思われる人物が描かれています。, アミノ酸側鎖はこれらの構造において結合に関与せず、αヘリックスではらせんの外側に突出し、βシートではシートの両面に互い違いに突き出しています, ポリペプチド鎖は柔軟に変形できるが、生体内では精密に折りたたまれ、熱力学的に安定した特定の立体構造(conformation)をとることで機能する。タンパク質の立体構造のうち、二次構造~四次構造を高次構造という。. General". ★水素結合…カルボキシル基の-coとアミノ基の-nhの間にみられるゆるやかな結合。 αヘリックス(Alpha helix)はタンパク質の二次構造の共通モチーフの1つで、バネに似た右巻きらせんの形をしている。骨格となるアミノ酸の全てのアミノ基は4残基離れたカルボキシル基と水素結合を形成している。, 1930年代前半、ウィリアム・アストベリーは湿った羊毛や髪の毛は、伸ばす前と後でX線繊維回折の結果が大きく違ってくることを発見した。この結果は、伸ばす前の繊維の分子は5.1Å以下の周期でコイル状の構造を持っていることを示していた。, 詳細について誤りはあったにせよ、アストベリーのこのモデルは概ね正しく、1951年にライナス・ポーリング、ロバート・コリー、ヘルマン・ブランソンらが提唱した二次構造の概念とも合致した。アストベリーのモデルでは原子同士がぶつかってしまっているため正しくない部分があると初めて指摘したのは、ハンス・ノイラートであった。ノイラートの論文とアストベリーのデータに刺激を受けたヒュー・テイラー、モーリス・ハギンズ、ローレンス・ブラッグらによってα-ヘリックスとよく似たケラチン分子の構造モデルが提唱された。, 近年のα-ヘリックスのモデルに関する2つの大きな進展は、アミノ酸やペプチドの結晶構造やポーリングの予測したペプチド結合に基づく正しい結合配置の決定と、らせん1回りの残基数が整数であるという誤った予測を捨てたことであった。決定的瞬間は、1948年1月にポーリングが風邪を引いて寝ている時に訪れた。退屈な彼は紙にペプチド鎖の絵を描き、それをらせんに折って注意深く観察していた。その時に彼はモデルに水素結合を導入することに気付いたのである。ポーリングはこの説を公表する前にコリー、ブランソンと共に入念な確認の実験を行った。, αヘリックス中のアミノ酸は5.4Å単位の右巻きらせん構造をしている。それぞれのアミノ酸はらせん中で100°向きを変え(つまりらせんは3.6残基で1回転し)、らせんの軸の方向に1.5Å進む。アミノ酸のアミノ基は4残基離れたアミノ酸のカルボキシル基と水素結合を作っている。これに対して、水素結合が3残基ごとのものは310ヘリックス、5残基ごとのものはΠヘリックスと呼ばれる。αヘリックス以外のヘリックス構造はあまり見られないが、310ヘリックスはαヘリックスの末端部で見られることがある。水素結合が2残基ごとの不安定なヘリックス(δヘリックスと呼ばれることがある)が、αヘリックス形成の中間体として分子動力学法を使ったシミュレーション中に現れたという報告もある。, αヘリックス中のアミノ酸の二面角は(φ, ψ)=(-60°, -45°)であることが多い。より一般的には、ある残基のψの二面角と次の残基のφの二面角の値の合計がおよそ-105°になる。その結果、αヘリックスはラマチャンドランプロットでは、(-90°, -15°)の点と(-35°, -70°)の点を結ぶ傾き-1の線分として表される。これに対して、310ヘリックスの二面角の合計はおよそ-75°、Πヘリックスの二面角の合計はおよそ-130°である。全てのトランス型ポリペプチドヘリックスの回転角Ωは、次の一般式で与えられる。, αヘリックスは密に詰まっていて、らせんの内部にはほとんど空いた空間がないほどである。そのためアミノ酸の側鎖は、クリスマスツリーのように全て下側外向きを向いている。この配向性は低解像度の電子密度マップでタンパク質の骨格の方向を決めるのに利用されることもある。, タンパク質中に見られるαヘリックスは4から40以上の残基によって構成されているが、多いのは10残基程度のものである。溶液中の短いポリペプチド鎖は、ヘリックスを形成するのに要するエントロピーがヘリックスを結合することによる安定性によって補償されないため、αヘリックス構造を取ることはあまりない。αヘリックスの水素結合はβシートの水素結合よりも弱く、周囲の水分子の影響を受けやすいと言われている。しかし細胞膜の様な疎水的な環境やトリフルオロエタノールなどの共溶媒中では、オリゴペプチドも安定なαヘリックス構造を取ることができる。, αヘリックスはその水素結合によって定義されるため、X線回折や核磁気共鳴分光法(NMR)による実験が行われてきた。NMRによって1つ1つの水素結合が直接観測されることもある。, より低解像度の方法として、NMRの化学シフトを使う方法や残余双極子相互作用などがヘリックスを同定するのによく用いられる。波長170-250nmの紫外線による円偏光二色性スペクトルでも208nmと222nmの位置に固有のピークを持つ。これに対して、αヘリックスとランダムコイルのピークがかぶるため、赤外分光法が使われることはほとんどない。最近ではタンパク質中のαヘリックスが電子顕微鏡でも見分けられるようになり、活発に研究が続けられている。, 1種類のアミノ酸による長いホモポリマーは、それが可溶性のものであればヘリックスを作ることがある。このような長いヘリックスは誘電緩和法や流動複屈折法、またはフィックの法則の定数の測定など特殊な方法によっても検出することができる。しかし厳密にいうと、これらの方法ではヘリックスの扁長の形や双極子モーメントしか見られていない。, 異なったアミノ酸配列はαヘリックスの形成に対して異なった傾向を示す。メチオニン、アラニン、ロイシン、グルタミン酸、リシンは特にヘリックスを作る傾向が強いが、プロリン、グリシン、チロシン、セリンはヘリックスを作りにくい。特にプロリンはアミノ基を持っていないため水素結合の形成に関与できず、また側鎖の立体障害が大きくてφの二面角も-70°程度しかないことから、ヘリックス構造を壊したり歪めたりしてしまう。またグリシンは構造が単純で変形しやすいためヘリックスに閉じ込めておくことがエントロピー的に不利になり、ヘリックスの形成を阻害する。, ヘリックスの双極子モーメントは、らせんの軸方向に配列したそれぞれのアミノ酸のカルボニル基の双極子モーメントに由来する。このエントロピーによって、ヘリックスの安定性は低下している。またこの双極子モーメントを相殺するために、αヘリックスのN末端にはグルタミン酸など負の電荷を持ったアミノ酸がくることが多い。さらに数は少ないが、C末端にリシンのような正の電荷を持つアミノ酸が来ることもある。また、リン酸基のようなリガンドと結合するため、あえてN末端に正の電荷のアミノ酸が配置することもある。, 最初にX線結晶構造解析がなされたタンパク質であるミオグロビンは全体の70%程度が8つのαヘリックスでからなり、残りがループかランダムである。, コイルドコイルは、2つかそれ以上のαヘリックスが互いの周りを囲みスーパーコイル構造を作って安定化した形である。コイルドコイルには7連子と言われる、保存性の高い7残基の繰り返しモチーフがある。1番目と4番目の残基は常に疎水性のアミノ酸(4残基目はロイシンであることが多い)で、らせんの束の内部で密着している。5番目と7番目の残基は反対の電荷を持ち、塩橋で架橋されている。ケラチンやミオシンのような繊維状タンパク質ではコイルドコイル構造がよく現れる。コイルドコイルと4���リックスバンドルはタンパク質に最もよく見られるモチーフである。例えばヒトの成長ホルモンや何種類かのシトクロムでも見られる。細菌の持つプラスミドの複製を促進するRopタンパク質では、1つのポリペプチド鎖がコイルドコイル構造を取り、2つの単量体が集まって4ヘリックスバンドル構造を取るという、興味深い構造をしている。, αヘリックスは、ヘリックスターンヘリックス、ロイシンジッパー、ジンクフィンガーなどの構造に含まれ、DNA結合モチーフとしての役割を持つ。これは、αヘリックスの直径が約1.2nmでB型のDNAのメジャーグルーブの幅とほぼ同じサイズであるためである。, 1種類のアミノ酸からなるホモポリマーは低い温度ではαヘリックスを取るが、温度が上がるとコイルに構造が変化する。この構造変化はかつては変性と同じものだと考えられていた。, 少なくとも2人の芸術家がαヘリックスに着想を得た作品を作っている。画家のジュリー・ニュードルと彫刻家のジュリアン・アンドレアである。, 微生物学の学位も持つジュリー・ニュードルは1990年から微生物や分子に着想を得た絵画を制作してきた。2003年の彼女の作品Rise of the Alpha Helixはαヘリックスの背景の中に人が描かれた絵である。, ジュリアン・アンドレアはドイツ生まれの彫刻家で実験物理学の学位を持つ。彼は2001年から2004年にかけてタンパク質の構造を模したprotein sculpturesという作品を竹と木などの様々な材料を使って制作した。高さ10フィートで真っ赤な色をしたこの作品はαヘリックスの発見者の一人であるポーリングに捧げられ、オレゴン州ポートランドにある、ポーリングの幼少の頃の家の前に飾られている。, αヘリックスのアラニン残基の部分を原子レベルで横から見た模式図。マゼンタ色は酸素-水素間の水素結合でその距離は約2.08Åである。この図ではN末端が下側、C末端が上側に描かれている。, 前出のαヘリックスを上から見た図。4つのカルボキシル基が100°ずつ開いて手前側に向かっている。, http://www.pnas.org/cgi/content/full/100/20/11207, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=Αヘリックス&oldid=60487208, タンパク質を伸ばすことによってらせん構造が壊れ、β型と言われる引き伸ばされた構造に変化する.