準決勝にて自身の息子、焦凍と引き分けた女子の長谷川千雨への養子縁組又は見合い話だ。, 体育祭の午前中にあった障害物と騎馬戦では強力ながらもサポート向きの個性だと思い、その機動力の高さはサイドキックとして採用すれば活躍の場が広がるとは思った。同時に、焦凍には及ばないと思った。, しかし、トーナメントでは一変して近接戦闘の強さを見せた。遠距離攻撃も可能で、あの超パワーと超スピードと電撃。目を奪われるような存在だった。, 自身が焦凍に望んだのと同じ、複数の"個性"を持つ子供。それも、十年以上も手をかけている焦凍と全力で引き分けるほど十全に扱う才能を持つ。, さらには、あの啖呵。二回戦での緑谷という少年以上の影響を焦凍に与えたことは見て取れた。, 強力な"個性"と圧倒的な"才能"と勇壮な"精神"の持ち主。しかも誂えたかのように"異性"で。, どの能力を受け継いだとしても最高傑作である焦凍との間であればきっと日本一の……いや世界一のヒーローが誕生することだろう。, No.1の座を諦めていないことを真正面から言われ―――自身に共感し、諦めない事を肯定する者など……初めてだった。, たしかにその通りだ。最も強いヒーローになるために何十年もの研鑽を積み、今もNo.2の座にいる。, 遠く、はるか高みにあるあの背に届きたくて。しかし、それが叶わないと20歳の時に思い知らされた。, 何故諦めなかったのかなど、自分でも分からない。ただ…諦めたくないという思いだけだった。, それは稚拙な願いだろう。歪んだ望みだろう。叶わない夢だろう。しかしそれを諦めないことを彼女は肯定した。悪くないと言った。, 彼女がそばに居れば、今よりも強くなれる。予感のようなそれは、どこか確信めいていて。, だからこそ、事務所の者に言って調べさせた。その血筋、家系、囲い込むに足る弱点となりそうなものを。, 公安委員会が保護したならば今はどこかの孤児院か保護施設かとも思ったが、高校生で雄英には特別枠入学している。ということは今も公安委員会がバックにいると目星をつけ、会長に連絡。, 案の定、彼女は施設には入っていないことと公安委員会が支援していることを知り、好都合だと思った。, たとえ焦凍を気に入らなかったとしても養子として迎え入れて外堀を埋めてしまえばいい。, 養子縁組と見合い話を持ち出せば、会長は乗ってきた。おそらくNo.2の俺に恩義を売れると踏んでだろう。, まずは職場体験指名だろう。焦凍への教育に専念しようと指名は焦凍のみと考えていたが予定を変更して彼女も指名する旨を秘書に連絡する。, オールマイトが教師となった以上、指名するプロヒーローの中では俺がトップだ。あれほどの戦闘力を持つならば来るに違いない。, 炎を使わないという反抗を止めた焦凍と共に、彼女にもヒーローとは何かを現場で教育するのも悪くない。うまくいけばインターンにも来るだろう。, 焦凍とも無理矢理見合いをさせずとも惹かれ合う可能性もあるし、養子縁組も直接本人に提案すればまた結果は違うかもしれない。, 焦凍が10年近く会いに行こうとしなかったお母さんのいる病院に行くと言って出ていったからだ。, 焦凍が生まれてから、お父さんは焦凍の"個性"にしか興味がないと言わんばかりの態度とスパルタ的な英才教育を止めさせようとするお母さんにも手を上げるようになり、お母さんは次第に精神的に不安定になっていった。, そうして焦凍に熱湯を浴びせてしまうほどに追い詰められていたお母さんは病院に入院という名の隔離をされた。, 12歳だった私はお父さんの欲する"個性"を持っていなかったため焦凍から引き離されていて、何もすることが出来なかった。出来ることは、お母さんの見舞いに行って洗濯物をするために行き来すること。, 友達の家に行けば優しくも厳しい両親と仲の良い兄弟姉妹。暖かい家族とはこういうものだと知り、自分の家との差に1人で暗くなっていた。家族の愚痴を言える友達が羨ましかった。, それでも、入院しているお母さんに色々と相談をすることが出来たのは私にとって幸いだったのかもしれない。同性でお父さんにはあまり似てないのもお母さんの精神を追い詰めないで済んだからかもしれない。, 雄英体育祭は日本のビッグイベント。それ抜きでも弟が活躍するかもしれないということで、弟の夏雄と共に見ていたのだ。, 相手の緑谷くんという男の子の怪我が凄まじかったのもあるが、焦凍がそれまで使ってこなかった炎を使ったことに驚いた。, そして、準決勝で戦った長谷川千雨ちゃん。焦凍と同じクラスの女の子で、予選からすごい個性だと思っていたがトーナメントではヒーロー科らしく戦闘力の強さをみせていた。, 女の子相手に焦凍はどう戦うのかと思っていたのもあったが、それ以上に彼女の言葉が胸に刺さった。, いいか轟。吹っ切れた、悟ったなんてのは大抵勘違いだ。すぐに解消しようとしなくていい。, 試合後に砂埃の立つステージが映された画面から聞こえたその言葉は、まるで私自身に言われているかのように錯覚してしまうほどのもの。, 家族仲のことはもう吹っ切れたものだと、もう修復できないのだと悟っていた。そのつもりだった。本当は全然吹っ切れてなんかいなかった。解消していなかった。今でも家族仲が良くなって欲しいと願っている。その本心を言い当てられたかのようだった。, きっと、焦凍を変えたのは彼女だろう。前へ……お母さんのもとへ、行こうと思えたのは。, 焦凍を救けてくれてありがとうと。私を救けてくれてありがとうと。私の口から直接伝えたいと思った。, 轟夏雄は大学に通う友人と遊ぶために東京駅にいた。日比谷公園で野外フェスがあるから行こうと誘われたのだ。, 友人が指差した先にいたのは、オレンジとピンクを混ぜたかのような髪色と丸メガネをかけた女の子。, 興奮気味の友人は昨日の体育祭の様子で彼女に心底惚れ込んでしまっているらしい。つい先日までは一緒になって彼女欲しいと言っていたとは思えない転身っぷりである。, あいつに鍛えられている焦凍と引き分けた強さが凄いというのもあるが、焦凍に向かって告げた言葉の数々が強烈だった。, はっきり言って、ウチの家は最悪である。無駄に立派な家とあいつの資産に反比例するように最悪である。, あいつは失敗作の俺たちに興味なし。成功作の焦凍を1人引き離して鍛え、燈矢兄を傷付けて、お母さんを追い詰めて病院にいれた。, そんな家のあれこれを吹き飛ばさんと言わんばかりの言葉の数々は、焦凍でなくとも心を揺さぶられた。, その言葉を聞いて姉ちゃんが泣いたというのが1番衝撃的だった。普段穏やかで朗らかでいつも笑顔の姉ちゃんが、静かに泣いたのだ。, そんな姉ちゃんに涙を流させるほどの衝撃を与えた張本人は、こうして遠くから見ると普通の女の子だった。, 彼女もなにか用事があるのか、取り囲んでいた人々に応援ありがとうございますと言いながら伸ばされた手と握手をして足早に去っていく。, あいつに対して抱えたこの感情が変わることはない。それでも……何故だか、彼女の言葉が耳から離れない。, 「知らねぇよ!てめぇが背負ってるもんがどんなものかなんて!どんだけ辛かったかなんて!, どんなものを背負っていても、どれだけ辛かったとしても。前を見なくてはいけない。でも、自分には、その言葉を受け入れられないでいる。, あの日……熱湯を浴びせられる時に聞こえたお母さんの震えた声。「時折醜く思えてしまうの」というその言葉。, 自分の存在がお母さんを追いつめてしまうから、入院してから10年間、1度も会わなかった。, お母さんはきっと、まだ俺に…親父に囚われ続けてる。だから俺が。この身体で、全力で、「再び"ヒーローを目指す"」には―――。, 扉へ伸ばす手がおもわず震える。またお母さんを追いつめてしまうんじゃないかという気持ちが、手を止めてしまう。. The novel "士傑高校の轟焦凍" includes tags such as "ヒロアカ", "小説" and more. 轟焦凍×保健室 鉄哲徹鐡×嫉妬 物間寧人×路地裏 死柄木弔×夕食 轟焦凍×赤い跡 切島鋭児郎×放課後の補習 爆豪勝己×王様ゲーム 瀬呂範太×勘違い×拘束 緑谷出久×独占欲 天喰環×お風呂上がり 荼毘×敵系彼氏 轟焦凍… 焦凍とも無理矢理見合いをさせずとも惹かれ合う可能性もあるし、養子縁組も直接本人に提案すればまた結果は違うかもしれない。 理想の未来を思い浮かべた轟炎司は珍しく機嫌良さげにしていた。 轟冬美は弟である焦凍の行動に困惑していた。 端正な顔立ちの少年で、オッドアイに右が白髪、左が赤髪になっている左右非対称な姿が特徴。また、赤髪の下、左目を中心に火傷の痕がある。 クールで感情を表に出すことは少ないが、その内面にはNo.1ヒーローへの強い情熱を秘めている。 入学当初はクラスメイトとほとんど会話することもない典型的な一匹狼だったが、雄英体育祭を経て以降、徐々に周囲のクラスメイトと打ち解けていった。 普段の振る舞いは不愛想だが「人を救けたい」という想いは強く抱いており、周囲の人々に対しても気遣 …